『 現代の神話 』

2007.04.19



お金とは何だろうか? 多くの人間にとってそれは、欲しいものを手に入れる為の道具・交換材料であり、 いつしか欲しい物それ自体よりも欲するようになる物。
そんなところではなかろうか。
貨幣経済社会にあって、お金はそれ自体ひとつの神話を形作っている。
リッチな生活、幸福を得るためにお金が欲しいという考え方、
物欲を満たす生活と幸福と金の3者が等価で語られる貨幣神話。
先進諸国の文明はこの貨幣神話によって支えられている。そして この貨幣神話に飲み込まれる人間には、 大きく分けて「金を使う人間」と「金に使われる人間」が居て、 前者はおよそお金が道具であることをわかっている人間で、彼らは お金をどうやって作るかということや、使い方や増やし方を考えている。
後者の多くは安定した生活を求める被雇用者で、物欲とその対価である 毎月の支払いと、収入を失う恐怖に縛られている。
 とても単純なことだが、大半の人々は自分がその神話に飲み込まれている ことに気付いていない。また気付いたとしてもそれでよいと思っているようだ。
だからもしあなたが「金が欲しい」と思うなら、またそれを耳にする時に、 何のために必要なのかと、もう少し考えてみてはどうだろうかと。
私はしばしばそれを思う。
その金を使ってあなたは何をしたいのか?
金は貨幣経済にあって物を買う道具ではあるが、欲望を満たす万能薬では ない。ブランド品・地位・名声、それらを必要と思う理由は何だろうか。
それをもう少し考えてみればいいと思う。
 神話それ自体にも、「神話を使う人間」と「神話に使われる人間」が居る。
何を信奉するかはその人の自由だが、何に飲み込まれているかに気付かず に信奉に殉じるのは、とうてい自由な姿ではないだろう。
 欲望は何事かを成す原動力ではあるが、欲望は自分のためにのみ機能して いるわけではない。「欲に溺れる」というのは長く言われてきた警句だろう。
何を欲し、なぜ欲すのか。それをもう少し考えてみればいいと思う。
それがあなたという人間の人生を決めるのだから。



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