雑記
【 スナーク・ハント 】

Snark hunt
ルイス・キャロル 『 スナーク狩り 』 からの変奏曲



スナークとは探さないときにのみ発見されるものであり、スナークを探す者は、
スナークをいつか発見することを恐れているのがわかる。いやそれどころか、
スナーク狩りによって自分と発見との間に越えがたい柵を、文字通り作っているのがわかる。
皆はスナーク狩りをしているのだと申し立てるが、本当は、そんなことはしていない。
いや、むしろ、スナーク狩り以外のことなら、何だってしているわけであるが。
申し分ない勇気、それだけがスナーク狩りには必要なのだ。

スナークは今日まで姿をあらわさん。姿を拝めれば心底うれしいのだが。
それゆえ、さあ聞け。今一度知らせておこう。その特徴を5つ並べておこう。
そいつを心得ておけば、真正のスナークを見分けることができるのだ。
では順番に教えよう。
まずは味だ。気が抜けて味も無いが、堅い皮がある。
ウェストの周りが窮屈すぎる燕尾服のようで、『鬼火ふう陽気』の芳香がある。
起きるのが遅い。だが言っておくが、だいたい、することなすこと遅すぎる。
例えば午後のお茶の時間に朝食をとり、翌日になって昼食を取る始末。
第三に、冗談がすぐにはわからない。
諸君が何か冗談を言ってもそいつは、悩んで哀願するようにため息をつき、
そして洒落には苦しそうな目つきをする。
第四に、更衣室が好きなのだ。いつもそれを持ち歩いている。
海辺の景色をきれいにすると信じておるのだ。
疑問の余地ある見解だな!
第五に、野心家だ。

だからスナークを狩るならば、
とりわけフォークと希望で狩るがよい。それに善良さと指ぬきで狩るがよい。
鉄道株で残忍に脅かすがよい。紙袋の中の微笑で誘うがよい!
まさにそいつが方法なのだ!
現代科学で言われておるように、スナークを分捕るにはそうやるしかない!

だがな悲しいことに我が同胞たちよ。
最後にスナークの種類にふれておかねばならん。
口ひげで引っかくスナークと、羽があってかむスナークは、区別する必要がある。
普通のスナークは無害だが、無論そこには例外もある。

もしもお前のスナークがブージャムと判明したなら、心せよ。
いや心する間すら汝らにはないやもしれぬ。
それがブージャムならばお前は数秒の内に音も無く消えてしまうのだから。
お前が何者であろうと、影すら残らぬのだから。




雑記

HOME
禁じられた真実
更新履歴
論考
箴言集 ’08.05
> 雑記 ’07.04.19
研究
事典
掲示板 ’16.12.05




当サイトについて 著作権・リンクについて